2017
03.19

山形鋼の断面二次モーメントを求める式

Category: 材力、構力
前回からの続き。前回に引き続きとても些細な内容であることを再度断っておく。

実は、前回示した"公式"は、以下に示すような山形鋼(アングル断面)の断面二次モーメントを求める際に使うと便利なのである。

art150_fig1.jpg

図の X 軸、Y 軸は、アングルのそれぞれの脚に平行で、図心を通るような軸である(これらが主軸ではないのは周知の通り)。この X 軸、Y 軸についての断面二次モーメントを前回の式を使って計算してみよう。それには下図のように考えればよい。


art150_fig2.jpg


この図の言わんとするところは、アングル断面(一番左)は真ん中の二つの図の斜線部を足したものから一番右の図の斜線部を引いたものに等しいということである。なので、前回の式 bD'3/3 を使えば、X 軸についての断面二次モーメントの式は以下のように書かれる。

art150_fig3.jpg

同様に、Y 軸についての断面二次モーメントは下式となる。

art150_fig4.jpg

これらの式は、AISC の Green Book(文献1)の 6 節(6-23 ページ)に出ているものである。6 節はいわば公式集なので解説は書かれていない。上記の説明はこの式を見て筆者が導出過程を推測したものである。

アングル断面の断面二次モーメントの計算なんて特に問題になるようなものではないが、筆者はこの式を初めて見た時に「誰が考えたのか知らないが、よくこんなこと思いついたなぁ」とえらく感心してしまった。平行軸の定理から得られるものに比べるとかなりスッキリした式になっている。前回も書いたように、この式について説明してある材料力学の本などにこれまで出会ったことが無い。

某大学のサイトで公開されていた講義資料(?)にアングル断面の断面二次モーメントの導出過程が示されていたが、その内容には逆の意味で「うーん」と唸らされてしまった。

その説明では、矩形断面の公式を使わずに断面二次モーメントの定義式(積分の式)から出発していたため、途中で計算が大変になったのか、厚み t に関する高次の項は無視できるというあらぬ仮定を導入して計算が省略されていた。

苦労した割りに得られる結果は不正確とあってはあまり褒められたものではない。取るに足らないような内容であってもちょっと工夫してみるのも大事なのではないだろうか。


参考文献

  1. AISC Manual of Steel Construction, Allowable Stress Design, Ninth Edition, 1989





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2017
03.13

断面二次モーメントに関する意外と有用な式

Category: 材力、構力
今回は、とても些細な内容の記事である。だが、このことについて書かれた本や資料にこれまで出会ったことが無いので、意外と知っている人は少ないのではないかと想像する。

材料力学を学んだ人なら、断面二次モーメントに関する「平行軸の定理」をご存知かと思う。形鋼と形鋼を組み合わせた、公式集に出ていないような特殊な断面の断面二次モーメントの計算などで重宝する便利な定理である。

材料力学の教科書の断面二次モーメントを説明している辺りでは、大抵この平行軸の定理について触れられていると思う。だが、補足的なものと言えばこの定理くらいではないだろうか。

以下に示す矩形断面の「半分」の断面二次モーメントを求める式は、平行軸の定理のように汎用的ではないけれど、なかなか有用となる場面があるのである。

下図のように矩形断面の図心を通る軸を X 軸とし、断面の幅を b、せいを D と書くことにする。

art_fig1_2.jpg


X 軸についての断面二次モーメントを求める式は、

art_fig2.jpg

である。これは、構造系の人間であれば誰もが記憶しているような式である。

では、今度は下図に示す上半分(または下半分)だけの断面の、同じ X 軸についての断面二次モーメントはどうなるだろうか?

art_fig4.jpg

定義に立ち返れば、上記の半分となるから、D/2 = D' と置くなら、

art_fig3.jpg

である。

以上が、今回紹介する"公式"である。

「えっ?これだけ?」と思われたなら、筆者の予想通り。「あー、あれで使うやつね。」と思われたなら、敢えて書くまでもなかったことになる。

この式をどう使うかについては、次回。



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2017
02.20

アーチ効果?

Category: 材力、構力
前々回の記事「直感に反する問題?」への追記。

art143_fig2.jpg

追記しておこうと思ったのは、上図に示した骨組の計算結果は、いわゆる「アーチ効果」のようなものかな?と思い至ったからである。ライズの低いアーチの半分を直線部材で置き換えたものと見なせば、鉛直荷重を受けてかなりのスラストが出るのは特に不思議でもない。

この例の水平部材には、2.3P ほどの圧縮力が出る。「段差」の部分の鉛直部材がもっと長かったり、「段差」が中央か端部のどちらかに寄っていれば、圧縮力はもっとずっと小さくなるのである(中央または端部だとゼロ)。

自分で書いておきながら何だが、骨組から変形していったので「アーチ効果」とはすぐに結びつかなかった。日常的にアーチやシェルを相手にしている人ならすぐにピンとくることだったのかも知れない。アーチ効果という解釈が合っていればの話だが。。。



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