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2015
03.27

正多角形断面の断面二次モーメントを求める式

Category: 材力、構力
「正多角形の図心を通る軸についての断面二次モーメントが軸の方向によらず一定である」ことを利用すると、正多角形の断面二次モーメントの式を驚くほど容易に導くことが出来る。実はこれについて書きたいがために、二つの問題に前座を務めてもらったのである。

導出の際には、断面二次モーメントを直接求めるのではなく、断面二次極モーメントという「迂回路」を通るので、断面二次極モーメントについて復習しておこう。即ち、直交座標系(x, y)の原点についての断面二次極モーメントを Ip とすると、Ip = Ix + Iy であるから、Ix = Iy なら Ix = Ip / 2 である。

次なる準備として、正 n 角形を構成する三角形について考える。これは下図に示すように原点を頂点とし、その角が 2p/n の二等辺三角形である。外接円の半径を R で表している。正多角形の断面二次モーメントは向きによらないことを知っているので、向きについては全く気にしなくてよい。

isoTri.png


そして、この二等辺三角形の Ix と Iy を求めておくのだが、これについては結果を拝借させてもらうことにすると、以下の式のように書かれる。

art93_eq1.png

これらを軸の変換式に代入して足し合わせる代わりに、断面二次極モーメントに登場してもらう。

二等辺三角形の原点についての断面二次極モーメントは上記の二式を足したものである。正 n 角形はこの二等辺三角形と同じものが n 個あるわけだから、その断面二次極モーメントは n 倍するだけで求められる。それを 2 で割れば、目的の断面二次モーメント I が得られることになる。式にすると以下となる。

art93_eq2.png

この式は、断面二次極モーメントというバイパスを経由したおかけで足し算が出てきていない。つまり、n の値が大きくなっても項数は増えないので、プログラムを組まなくても計算できるのである。Excel でやるなら 3つのセル( n のセル、Rのセル、本式のセル)があれば十分だ。

式中には三角関数が出てきているので、表現方法は幾通りも考えられる。上記のように纏めたのは、これだと極限値を確認しやすいかと思ったからである。上式を以下のように変形すると、

art93_eq3.png

θ → 0 の時、sinθ/θ → 1、cosθ → 1 であるから、n → ∞ とすれば、

art93_eq4.png

これは円の断面二次モーメントの式と一致する。n = 3(正三角形)、n = 4(正方形)の場合も一応確認しておいたので、たぶん間違っては無いと思うのだが、どうだろうか?



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2015
03.23

正多角形断面の図心を通る軸についての断面二次モーメントが軸の方向によらず一定であることの証明

Category: 材力、構力
前回と前々回の問題は、正多角形断面の図心を通る軸についての断面二次モーメントが軸の方向によらず一定であることを基にして作成したものである。

種明かしをすると、この問題は筆者の完全なオリジナルではなくて元ネタが存在する。それは、武藤清 二見秀雄著「趣味の構造力学」の p.75 に出ている以下の問題である。

正三角形断面の重心を通る任意の軸に対する二次モーメントはすべて相等しきことを証明せよ。

これは、建築世界(昭和9年10月号)に掲載された懸賞問題である。浜田稔による講評が出ているのでそれも書き写すと、

◇ 講評 浜田稔
本問は断面の性質に関する問題である。ゆえに断面の性質として通常の参考書に記されている事項は既知事項としてそのまま使用して差支えない。最も明快な解答は次のごとし。

(解)
正三角形は3本の対称軸を有し、その軸に関する二次モーメントは皆相等しい。このことを正三角形の重心に対する二次モーメント楕円について考えうるに、楕円の3動径が等しいこととなる。
 かような楕円は円でなければならぬ。したがっていずれの軸に対する二次モーメントも皆相等しいこととなる。
 以上の解によると、何等の計算を行わずとも所要の証明を得る。もちろん解答としてこれでよいはずであるが、応募者中にはあるいはこれでは物足りないと思ったか、またはそれに気付かなかったか、ほとんど全部がいろいろと計算を行って証明を行った。もちろんそれでもよいのであるが、明快さに差があることに注意されたい。

このことは正三角形だけでなく正多角形についても言えることなので、これをヒントに前回と前々回の問題を作ったわけである。

上記の(解)に示されるようなエレガントな解答はとても思いつかないので、「いろいろと計算を行って」正多角形断面の図心を通る軸についての断面二次モーメントが軸の方向によらず一定であることを証明してみよう。ただ、それには準備がいる。

まずは、「最近は証明問題など解いたことないなぁ。。」とさりげなくつぶやいて、もし誤った証明をしてしまった際の言い訳を用意しておく。

次に、材料力学で学んだことを思い出すことにして、軸の方向を変えた時の断面二次モーメントの変化云々を議論する際には、対称軸は主軸であり、対称軸において断面二次モーメントは極値を取ることを確認しておく。そして、軸の方向を変えた時に断面二次モーメントが変化するものとして話を進めていく。

もう一つ、これが重要なことだが、正多角形では対称軸を一つ選ぶと、それに直交しない別の対称軸が必ず存在することも確認しておかねばならない。例えば、正三角形なら、最初に選んだ対称軸とのなす角が 2p/3 の対称軸が存在するし、正方形なら p/4 の対称軸が存在する。正五角形以上は説明するまでもないだろう。

ここまで準備しておいて、断面二次モーメントの軸変換の式を考える。対称軸の一つを x 軸とし、それに直交する軸を y 軸とすると、x 軸から y 軸に向かって θ だけ回転した軸についての断面二次モーメント I は以下のよう書かれる。

art92_eq1.png

対称軸であるから断面相乗モーメントの項は出てこない。これは以下の様にも書ける。

art92_eq2.png

極値の条件は、これをθで微分してゼロと置いて、

art92_eq3.png

Ix ≠ Iy ならば sin 2θ = 0 である。2θ が 0 から 2p まで動く時に sin 2θ = 0 となるのは、θ = 0, p/2, p の場合に限られる。つまり、x 軸と y 軸の向き以外ではゼロにならない。

だが、先に書いたように x 軸と y 軸以外の向きでも I は極値を取る必要があるので、この必要性を満たすには、Ix = Iy を受け入れるか、最初に掲げた「断面二次モーメントが変化する」という前提を取り下げなくてはならない。

Ix = Iy を受け入れるとすると、上記の I の式にこれを代入すれば、I = Ix となり、結局のところ断面二次モーメントは軸の向きによらないということになる。

以上が「証明のつもり」である。何か不備があるようだったらご指摘願いたい。

書きながら気が付いたのだが、「断面が対称軸を持つとき、その軸とそれに直交する軸がその断面の主軸である」という材料力学の教科書の表現は今回のケースを見逃していて、実際には主軸が無数に存在する(見方によっては、主軸は一つも存在しない)という特殊ケースもあると言うことが出来そうである。


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2015
03.19

あまり意地悪ではない?問題

Category: 材力、構力
たわみ角法そっちのけで、前回と同じような問題をもう一つ。

鉛直方向の荷重を受ける、断面が正方形のはりを考える。断面の配置を以下の三通りとした時、最もたわみが大きく出るのはどのケースか?但し一番右のケースは、一番左の断面を反時計回りに7度だけ回転させているとする。

SquareSec2.jpg

前回の問題は計算する気が起きなかったかも知れないが、今回のなら材料力学の本を持ち出して来て、断面二次モーメントの座標変換式を見直す気になるのではないだろうか?そうすると、断面をどう傾けようと断面二次モーメントが一定(図心を通る任意軸回りの断面二次モーメントが一定)であることに気付くと思われる。

つまり、上記のいずれのケースも同じだけたわむというのが答えである。もう読めてきたかと思うが、前回の問題でも事情は全く同じで、軸を何度傾けようと断面二次モーメントは一定なのである。出てきた数字に特に意味はなく、尤もらしく見せていただけである。初めは正八角形で問題を作ってみたが、それだとすぐバレると思ったので、ぱっと見分かりにくい正五角形に変更した次第である。

正方形、正五角形、正八角形の断面に限らず、「断面の図心を通る軸回りの断面二次モーメントは、軸の方向によらず一定である」ことは任意の正多角形断面について言えることである。それは、正多角形が対称軸を3つ以上持つことと、対称軸に関する断面相乗モーメントの特性を思い浮かべながら断面二次モーメントの座標変換式を見れば納得されるかと思われる。

この定理(?)をご存知の人にはバカバカしい問題であったかと思う。だがこれを応用すれば、ある一般式の導出が非常に容易になるので、次回はそれについて書いてみたい。こちらはそれほどバカバカしくもない内容である。



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