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2015
04.11

「たわみ角」の元の言葉は?

Category: 建築構造史
前回の記事の後、勢いに任せてさらに問題を二つ作ってしまった(一つはプログラミング演習の問題にちょうどいいかも)。だが、目的は果たしたし、さすがにもう飽きてきたので掲載するのはやめてたわみ角法に戻ろう。

先日二つの「たわみ角」の定義について書いた記事に載せていた図は、実はベンディクセンの本の1ページ目に出ている図を模写したものである。説明の都合上一部を省略していたので、全て描いたものを改めて以下に示そう。

Fig2_2.png


節点に白丸が描かれているが、ピンではなくて剛節であることに注意されたい。

ベンディクセンの本では、この図中の aaaab 、u ab などの関係式を与えるところから議論がスタートする。これは、田中尚、高梨晃一、宇田川邦明共著「建築骨組の力学」でも同じである。図もほとんど同じものが示されている。

なので、田中尚らの「建築骨組の力学」は直接か間接かは分からないが、ベンディクセンのアプローチに倣ったものと言えそうである。この本での材端のたわみ角は節点角とは別物として定義されているので、こちらの定義はドイツ経由と言えそうだと思ったわけである。

角の関係式を示さなくても目的の式を導くことはできる。実際、ウィルソンはこのプロセスを踏んでいない。中身は同じでもかなり異なるアプローチが採られている。これは後日詳しく取り上げることにしたい。

アメリカ由来、ドイツ由来と書いたけれど、「たわみ角」の元の言葉に当たるものがウィルソンの論文やベンディクセンの本に見られるわけではない。ウィルソンの論文だと slope がそれに相当するが、直訳すれば「勾配」や「傾斜」となるから、日本語の「たわみ角」ほど特別な語感を持っているとは思えない。

ウィルソンの論文で最初に「たわみ角」が出てくるのは、"V. FUNDAMENTAL EQUATION." の "10. Derivation of Fundamental Equation." においてである。その部分は以下のように書かれている。θA は上記の図の aa と同じで、変形前の部材軸から測った角度である。

The change in the slope of the elastic curve at A due to the external forces is represented by θA, and at B by θB.

日本語に訳すと、”弾性線の勾配の変化”である。この「変化」とは、部材の変形前と後での変化を意味している。

さらに "VI. DERIVATION OF GENERAL EQUATIONS." の "11. Notations." で改めて記号の意味が説明されていて、そこでもほぼ同じ記述が見られる(下記)。

θ = change in the slope of the tangent to the elastic curve.

ベンディクセンの本では、上図内の記号の説明として、winkel aa などと書かれているだけである。Winkel とは英語の angle、日本語の角(度)である。その部分を以下に示そう(拙訳)。

材端を結ぶ線 a'b' は、変形前の位置 ab と uab の角をなし、弾性線の(材端における)接線は、材端を結ぶ線 a'b' とそれぞれ角 aababa をなす。

原文は以下。ドイツ語の入力は面倒なので、エスツェットは ss、ウムラウト a は ae などとしている。

Die Verbindungslinie a'b' schliesst mit der ursprunglichen Lage ab den Winkel uab ein, waehrend die Endtangcnten der elastischen Linie mit der Verbindungslinie a'b' die Winkel aab bzw. aba bilden.

日本にたわみ角法が入ってきたばかりの頃、誰かが(これが誰なのかが大きな謎だが)「撓角撓度法」と命名し、二見秀雄らが誤って「ぎょうかくぎょうどほう」と呼んでいたことは既に書いてしまったので、次回はたわみ角法が設計に使用された当時の構造物について書いてみようかと思う。



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