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2015
10.28

3次元問題のモールの応力円(その2)

Category: 材力、構力
前回からの続き。問題を再掲すると以下の通り。

変数 σ, t 、定数 σ1, σ2, σ3、単位ベクトル n = (n1, n2, n3) が下式を満足する時、n の向きと (σ, t ) の対応は如何?

Mohr_eq2.jpg

前回書き忘れたが、(n1, n2, n3) は、直交座標系 x1 x2 x3 での n の成分である。また、σ1 > σ2 > σ3 とする。

上記二式は、添え字の 1 と 2 を入れ替えても同じ式のままである。つまり、対称性がある。これは 1 と 3、2 と 3 についても言える。

まず、最も簡単で特別なケースである n = (n1, n2, n3) = (1, 0, 0) の場合では、上記第二式から直ちに σ = σ1 が求まり、それを第一式に代入すれば、t = 0 が求まる。

添え字 2、3 でも同様であるので、纏めると以下となる。

① (n1, n2, n3) = (1, 0, 0): σ = σ1t = 0
② (n1, n2, n3) = (0, 1, 0): σ = σ2t = 0
③ (n1, n2, n3) = (0, 0, 1): σ = σ3t = 0

これらを (σ, t ) 平面上に描くと、以下の3点となる。
art100_fig1.jpg
次に、これも特別なケースではあるが、少しだけ難しい n3 = 0 の場合を考える。この時、上記二式は以下となる。

Mohr_2_eq1_rev.jpg

n は単位ベクトルであるから、

Mohr_2_eq2.jpg

単位ベクトルの成分は、そのベクトルと各座標軸 x1、x2、x3 のなす角(それぞれ (α,β,γ)で表しておく)の方向余弦そのものであるから、n2 = cosβ を上式に代入して、

Mohr_2_eq3.jpg

これらを式(1.b)に代入して、
Mohr_2_eq4.jpg
と、なんだか見覚えのある式が得られる。

次に t を求めるのに必要な σ2 を求めておく。式(1.b)から、

Mohr_rev_eq1.jpg

これを式(1.a)に代入して σ2 を消去すれば t2 が求まるのだが、気の利いた方法も思いつかないので、手の運動だと思ってゴリゴリと計算を行うと以下のようになる。

Mohr_rev_eq2.jpg

n12 = sin2β 、n22 = cos2β を代入すると、

Mohr_rev_eq3.jpg
これより、
Mohr_2_eq7.jpg
符号が正の場合では、
Mohr_2_eq8.jpg
以上の計算の結果を纏めると、

Mohr_2_eq9.jpg
これらの式より、β が 0 から p/2 まで変化すると、σ, t は、中心が ( (σ12)/2, 0) で半径が (σ12)/2 の円(下図)の上半分の円周上を動くことが分かる。符号が負の場合では、同様に下半分となる。

Mohr_2_fig2_rev.jpg
以上は、n3 = 0 の場合であるが、n1 = 0、n2 = 0 の場合については、結果の添え字を入れ替えればよいだけだから、n1 = 0 の場合は、σ2 と σ3 によって描かれる円、n2 = 0 の場合は、σ1 と σ3 によって描かれる円が対応する。

ここまで、変数や定数の意味を特に考えずに、特別なケースについて式展開を行って式と図の対応について見た。任意方向の n の場合についてはまた後日。



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2015
10.19

3次元問題のモールの応力円

Category: 材力、構力
先日採りあげたモールの応力円は、昨今の実務で使われることはまず無いと思われる。そのせいか、2 次元のモール円は辛うじて材料力学の教科書で紹介されるものの、3 次元問題のものについて説明している本はほとんど見かけない。大型書店に行って、関連本を手当たり次第に広げてみても、おそらく見つけることはできないのではないだろうか。

この役割を終えたと言えるモールの応力円、理論的には興味深いものもあるので、うまく説明できるかわからないが、ちょっと書いてみようかと思う。

ティモシェンコ(S. P. Timoshenko)は、"History of Strength of Materials" の中でモール(Christian Otto Mohr)の業績について以下のように解説している(以下、拙訳と原文を併記)。

モールの最大の功績は、次章で取り上げるように構造理論の分野に存するが、彼の材料力学への貢献もまた大変重要なものである。

Mohr's best work lies in the theory of sturctures, which will be discussed in the next chapter, but his contribution to strength of materials is also very important.

この後に、はりのたわみを求める「モールの定理」が紹介され、それに次ぐ重要な業績として「モールの応力円」への言及がある。

材料力学におけるモールの業績としてもう一つ重要なのは、モールがある点の応力を図表現していることである。

(中略)

モールは、主軸を通る面に作用する応力の成分が Fig. 174 に示す 3 つの円上の点の座標で表されることを見出している。

3 つの円のうち最も大きな円は、最大主応力と最小主応力の差である σ1 - σ3 に等しい直径を持ち、中間主応力 σ2 の主軸を通る面上の応力を定義する。

モールはまた、3つの主軸の全てに交差する面に作用する応力が、図(Fig. 174)の幾つかの点の座標によってどのように表され得るかを示し、それら全ての点が斜線領域内にあることを証明している。

Another important piece of Mohr's work in strength of materials is his graphical representation of stress at a point.

(中略)

Mohr finds that the stress components acting on the planes passing through the principal axes may be represented by the coordinates of points on the three circles shown in Fig. 174.

The largest of the three circles has a diameter equal to the difference σ1 - σ3 between the largest and the smallest of the prinicipal stresses and defines the stresses on the planes passing through the axis of the intermediate principal stress σ2.

Mohr also shows how the stresses acting on planes intersecting all three principal axes can be represented by the coordiates of certain points of the diagram(Fig. 174) and proves that all those points lie in the shaded areas.

上記文中の Fig. 174 が以下の図である(オリジナルに表記されている一部の記号を省略)。

fig174_rev.jpg
ティモシェンコによると、クールマン(Karl Culmann)が "Graphische Statik" で 2 次元版モール円については先に論じていて、モールがそれをさらに一般化したそうだ。モールの参照文献については、脚注に "See Civiling., 1882, p.133." とそっけなく書かれているだけで、探してみるまでもなく、これを入手するのは面倒そうだ。

上記の"それら全ての点が斜線領域内にあることを証明している"の部分について、できればモールの思考の軌跡を辿ってみたかったのだが、諦めることにして、他の文献などを参考にこの辺りについて書いてみよう。

だが、力学的な話からスタートすると、難しくてとても書けそうにないので、そういったものをすっ飛ばして問題を整理すると、以下のような数学の問題になる。即ち、

変数 x, y、定数 a, b, c、単位ベクトル e = (e1, e2, e3) が下式を満足する時、e の向きと (x, y) の対応は如何?

Mohr_eq1.jpg

これだと、(後で示すように)出てくるのは三角関数くらいだから、高校生レベルの問題となる(単位ベクトルは高校では出てこない?)。だが、後々のことを考えると、Fig. 174の記号との対応もあるので、表記を変更すると、

変数 σ, t 、定数 σ1, σ2, σ3、単位ベクトル n = (n1, n2, n3) が下式を満足する時、n の向きと (σ, t ) の対応は如何?

Mohr_eq2.jpg

こう書くと、見る人が見れば意味が透けてしまう。だが、今は意味を考える必要はないので、しばらくの間、変数や定数の意味は忘れておこう。

続きは後日。今回は、門口から玄関まで来ただけの内容になってしまった。。。



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2015
10.06

余談の余談(零戦から鷲津久一郎まで)

Category:
前回書いた"撃墜王"こと坂井三郎氏の左旋回の話は、飛行機の本をたくさん書いておられる加藤寛一郎氏の「飛行の秘術のはなし」で読んだと記憶している。これも書き写して引用しようと思って本棚を捜したが、見当たらない。この本だけでなく飛行機関連の本が何冊か見当たらないのである。

そういえば、二年ほど前に零戦映画が話題になった頃、映画を見た知人が零戦について熱く語ってくるので、「飛行の秘術のはなし」などを見せて、"左捻りこみ"の説明が出ていることを教えたところ、それらの本を貸してほしいと持って行ってしまったのであった。

その本には、加藤氏が坂井氏を自宅に招いて零戦の飛行法について聞き取りをする話が出ていたと記憶している。二人でソファーに並んで座り、坂井氏がレクチャーする。加藤氏は、操縦桿の位置やその時のパイロットの体勢を実際に確認しながら説明を受ける。「ここで左旋回」と坂井氏が体を左に倒せば、それを真似て加藤氏も体を左に倒す。うろ覚えだが、確かそんなことが書かれていたと思う。

背面飛びでの説明に及んで、二人がソファーの上で逆さまになって合計四本の足を宙に上げたところに、お茶を持った加藤氏の御令室が戸を開けて入ってくる。この場面は結構笑えるのだが、あまりによくできているので、「ドラマ化でも狙って話を作っているのでは?」と(失礼ながら)思ったほどである。

ところで、加藤氏が企業を辞めて助教授として赴任した先で、これから飛行法(飛行術だったかな?)の研究をしたいと話すと、その研究室の教授が床を踏み鳴らして大激怒したそうである。その教授が誰であろう鷲津久一郎大先生なのであった。曰く「そんなものは、定年後に田舎の大学にでも行ってやれー。」(うろ覚えなので、表現は不正確かも)

鷲津久一郎と言えば変分原理(エネルギ原理)、変分原理と言えば鷲津久一郎である(Hu-Washizuの原理が有名)。夏目漱石の三部作ではないが、「エネルギ原理入門」「弾性学の変分原理概論」「Variational Methods in Elasticity and Plasticity」を鷲津の「変分原理三部作」と筆者は勝手に呼んで崇めている。

先日は鷲津久一郎の本の脚注について書いたが、上記の二番目の本の脚注では、鷲津久一郎自身が犯した学問上の誤りについて触れられている。これを読んだ時は「鷲津久一郎のような人でも間違えるのか」と少し安心したと同時に、そんなことを正直に書いておられることに心から敬服してしまった。



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