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2015
08.27

ちょっと遅い?工学者的緑陰図書

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季節は早くも「緑陰」というより「秋の夜長」に移ろってきた感がある。読書にはちょうど良い気候なので、今宵は本(工学書)について書いてみたい。

工学書にも色んな分野があるが、今回取り上げるのは構造解析法(有限要素法)についてのものである。これから有限要素法を勉強するという人に入門書として何か紹介するとすれば、H. C. マーチン の "Introduction to Matrix Methods of Structural Analysis (1966)" を挙げたい。H. C. マーチンとは、以前(ここで)ちょっとだけ紹介したことのある有限要素法創始者の一人である。

そんな人が書いたのだから難しい本と思われるかもしれないが、実際はその逆で、たいへん易しい内容の本である。ちょっと古い本なので、図書館で借りるか古本屋を探してもらうしかないのが難点ではある。日本語訳も出ているが、せっかく有限要素法の生みの親が書いたものであるし、英語も平易であるから、ここは是非原書で読むことをお勧めしたい。

注意しておきたいのは、有限要素法をある程度知っている人にはあまりお勧めできないことである。初歩的過ぎてきっとがっかりするだろうから。本というのは読むべき時期があるのである。

鷲津久一郎、池川昌弘共著「有限要素法」という本の末尾には、"有限要素法小史"と題した、その名の通り有限要素法の歴史を短く振り返った付録が載っている。この中に鷲津久一郎が H. C. マーチン から聞いた面白いエピソードが出ているので、以下にそれを示そう。

1952年のある時期、ボーイング社の Turner 技師 ** を中心にカリフォルニア大学の Clough 教授やワシントン大学の Martin 教授から成る小さな研究グループが結成された。目的は、当時ボーイング社で開発中の新鋭機の翼の剛性を計算するための新しい解析法を発見することであった。その成果の第1報が1954年1月、アメリカ合衆国航空学会年会で発表され、のちに1956年 JAS に掲載された論文で、これが今日、構造関係の FEM の開拓的論文といわれるものである。

(中略)

しかしながら、この論文の formulation は上述のように物理的考察によって導かれたものであって、画期的であっただけに、聴衆には難解だったらしく、講演が終わった後の討論も賛否両論で、最後に聴衆の1人が壇上にかけよってきて、講演者に向かって "Your formulation is completely wrong!!"と叫んだ由である ***

上記***の脚注が以下。

Martin 教授談。このセリフをいった人の名前を聞き漏らしたのは残念である。

"Your formulation is completely wrong!!"の放言であるが、さすがはアメリカという感じがする。日本だと本人に向かってそこまで露骨には言わないだろう。あえて日本語に(臨場感をもたせて)訳せば、「あんたのやり方は全くのデタラメだ!!」とでもなろうか?

当時はまだ応力法が主流であったことが、こんな発言が出てくる背景としてあったのかもしれない。

余談だが、鷲津久一郎の本の脚注は、大抵どの本でもかなりユニークなものが多いと思うのは筆者だけだろうか?例えば、上記の ** の脚注には以下のように書かれている。

M. J. Turner. 彼の middle name はジョナサン(Jonathan)である。

「は?だから何?」と頭を抱えてしまうような脚注である。"ジョナサン"に何か意味があるのかも知れないが。。。知っている人がいたら教えて頂けると幸いです。


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