2015
10.19

3次元問題のモールの応力円

Category: 材力、構力
先日採りあげたモールの応力円は、昨今の実務で使われることはまず無いと思われる。そのせいか、2 次元のモール円は辛うじて材料力学の教科書で紹介されるものの、3 次元問題のものについて説明している本はほとんど見かけない。大型書店に行って、関連本を手当たり次第に広げてみても、おそらく見つけることはできないのではないだろうか。

この役割を終えたと言えるモールの応力円、理論的には興味深いものもあるので、うまく説明できるかわからないが、ちょっと書いてみようかと思う。

ティモシェンコ(S. P. Timoshenko)は、"History of Strength of Materials" の中でモール(Christian Otto Mohr)の業績について以下のように解説している(以下、拙訳と原文を併記)。

モールの最大の功績は、次章で取り上げるように構造理論の分野に存するが、彼の材料力学への貢献もまた大変重要なものである。

Mohr's best work lies in the theory of sturctures, which will be discussed in the next chapter, but his contribution to strength of materials is also very important.

この後に、はりのたわみを求める「モールの定理」が紹介され、それに次ぐ重要な業績として「モールの応力円」への言及がある。

材料力学におけるモールの業績としてもう一つ重要なのは、モールがある点の応力を図表現していることである。

(中略)

モールは、主軸を通る面に作用する応力の成分が Fig. 174 に示す 3 つの円上の点の座標で表されることを見出している。

3 つの円のうち最も大きな円は、最大主応力と最小主応力の差である σ1 - σ3 に等しい直径を持ち、中間主応力 σ2 の主軸を通る面上の応力を定義する。

モールはまた、3つの主軸の全てに交差する面に作用する応力が、図(Fig. 174)の幾つかの点の座標によってどのように表され得るかを示し、それら全ての点が斜線領域内にあることを証明している。

Another important piece of Mohr's work in strength of materials is his graphical representation of stress at a point.

(中略)

Mohr finds that the stress components acting on the planes passing through the principal axes may be represented by the coordinates of points on the three circles shown in Fig. 174.

The largest of the three circles has a diameter equal to the difference σ1 - σ3 between the largest and the smallest of the prinicipal stresses and defines the stresses on the planes passing through the axis of the intermediate principal stress σ2.

Mohr also shows how the stresses acting on planes intersecting all three principal axes can be represented by the coordiates of certain points of the diagram(Fig. 174) and proves that all those points lie in the shaded areas.

上記文中の Fig. 174 が以下の図である(オリジナルに表記されている一部の記号を省略)。

fig174_rev.jpg
ティモシェンコによると、クールマン(Karl Culmann)が "Graphische Statik" で 2 次元版モール円については先に論じていて、モールがそれをさらに一般化したそうだ。モールの参照文献については、脚注に "See Civiling., 1882, p.133." とそっけなく書かれているだけで、探してみるまでもなく、これを入手するのは面倒そうだ。

上記の"それら全ての点が斜線領域内にあることを証明している"の部分について、できればモールの思考の軌跡を辿ってみたかったのだが、諦めることにして、他の文献などを参考にこの辺りについて書いてみよう。

だが、力学的な話からスタートすると、難しくてとても書けそうにないので、そういったものをすっ飛ばして問題を整理すると、以下のような数学の問題になる。即ち、

変数 x, y、定数 a, b, c、単位ベクトル e = (e1, e2, e3) が下式を満足する時、e の向きと (x, y) の対応は如何?

Mohr_eq1.jpg

これだと、(後で示すように)出てくるのは三角関数くらいだから、高校生レベルの問題となる(単位ベクトルは高校では出てこない?)。だが、後々のことを考えると、Fig. 174の記号との対応もあるので、表記を変更すると、

変数 σ, t 、定数 σ1, σ2, σ3、単位ベクトル n = (n1, n2, n3) が下式を満足する時、n の向きと (σ, t ) の対応は如何?

Mohr_eq2.jpg

こう書くと、見る人が見れば意味が透けてしまう。だが、今は意味を考える必要はないので、しばらくの間、変数や定数の意味は忘れておこう。

続きは後日。今回は、門口から玄関まで来ただけの内容になってしまった。。。


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