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2016
06.03

20世紀初めの建築振動論(真島健三郎のアプローチ その2)

Category: 建築構造史

「地震と建築」 附図一 I (Tr/T=1/4)
majima_fig1_I_original.jpg

majima_fig1_I.jpg

「地震と建築」 附図一 II (Tr/T=1/2)
majima_fig1_II_original_2.jpg

majima_fig1_II.jpg

「地震と建築」 附図一 III (Tr/T=3/4)
majima_fig1_III_original.jpg

majima_fig1_III_2.jpg


先日の記事では、ダヌッソ(Arturo Danusso)が調和地動を受ける非減衰 1 自由度系(と 2 自由度系)の応答を求めていたことについて書いた。真島健三郎も「地震と建築」の中で非減衰 1 自由度系に相当するものについて同じような検討を加えている。

それは、「第二章 弾性体の振動 第十一節 控制力を無視したる振期比の影響と感応率」に示されている。この節の内容を、時刻歴のグラフを作成するところまで追いかけてみたので以下にそれを示そうかと思う。

だが、内容を忠実に(筆者なりにだが)追いかけたにも拘らず、筆者の得た結果は、真島健三郎が示しているものとぴったりと一致しなかった。

もう少しちゃんとトレースしようとすると、「地震と建築」の元になっている論文を見ないといけないことが分かったのだが、せっかくグラフまで作ったことでもあるので、ここでは筆者が"現代的先入観"から求めた結果を示すことにして、元になっている論文については後回しにしたい。

上記の節タイトル中の控制力は減衰力、振期比は(系と外乱の)周期の比のことである。感応率については後述する。当該部分を書き写すと(一部読み易いように原文から変更してある)、

今衰減作用を無視したる(35)(36)(37)(38)の各式に ur を乗じ、これに又衰減を無視したる自由振動を加え、始原条件よりそれぞれ不定常数を決定すれば、Tr:Tのいかなる比の運動も、これに適応する二式を取って表現される。

(35)(36)(37)(38)の各式とは、系の r 次モードの非減衰系運動方程式の特解にあたる。これに自由振動(余関数)を加えたものが運動方程式の一般解である(下式)。第一項が特解、第二項が余関数である。

majima_eq28_0damp_3.jpg

Tr の下添え字 r は、モードの次数を表しており、Tr とは r 次の固有周期である。これに以下の条件での解を求めている。


majima_eq_p47.jpg


ここで、表記を簡潔にするために、柴田明徳著「最新 耐震構造解析」の 1 自由度系の場合の記号で置き直すと、2p/Tr = ω、2p/T = p、a = a0、また非減衰の場合は、βr = 2p/Tr = ω である。

地動が正弦波なので、t = 0 で y = 0、dy/dt = -a0p の初期条件から未定係数を定めると、変位 y の解が以下のように得られる。

eq2.jpg

これは、以前の記事で求めておいたものと一致する。

真島は以下のようにして「感応率時相曲線」なるもの(時刻歴変位曲線に相当)を得ている(p.47)。

体系の自由振期と地震の強制振期の種々な比を取って、それの y に対する影響量を算出しこれに刻々の地動を加えて縦距とし、時を横距として曲線を書くと、付図第一から第五の如きものが得られる。

「これに刻々の地動を加えて縦距とし」とあるように、絶対変位を描いているのである。付図第一とは、Tr/T=1/4、Tr/T=1/2、Tr/T=3/4 (Tは地震の周期、Trは系の周期)の場合である。上にそれらのグラフを示している。カラーの方は、筆者が表計算ソフトのグラフ機能を使って描いたものである。青線が地動、赤線が系の変位である。

「地震と建築」に示されるグラフのキャプションは以下の通り。

majima_fig_cap_2.jpg

「実線縦距 - 点線縦距 = 感応率 s 」とあるように、感応率は相対量である。"感応率"の本文中の説明も以下に示しておく。

著者は上述の刻々の変位量を感応率 s 又その最大変位量を最大感応率 S と称しておく。

さて、「感応率時相曲線」のグラフである。Tr/T=3/4の場合は、真島の作成したものと筆者の描いたものはほぼ同じとなっているが、残りの二つは一見似ているがよく見ると違っているのが分かる。真島のものは、周期が伸びていたり y = 0 の横軸に関して対称でなかったりしているのである。

付図第二以降についてはまた後日。。。


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