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2017
10.12

「リミットデザイン」と呼ばれていた頃

Category: 建築構造史
圧延鋼のウェブに軸方向に沿って長い切れ込みを入れたら、分断された上下の部分はおそらくじっとしていないだろう。互いに離れるといった何らかの変形を生じると思われる。M. サルバドリー & R. ヘラー共著「建築の構造」の"2.5 熱荷重と沈下荷重"には、そのように変形した圧延鋼はりの絵が描かれている。

構造物は、冬は冷やされ夏は熱せられる。一日のうちだけでも朝晩は冷やされ日中は温められる。日の当たる所と当たらない所ではかなりの温度差が生じる。ハウスナー先生に指摘されなくても、このような温度応力(熱応力)は無視できそうにないと思われる。

このような温度応力が生じているところに地震が襲って来れば、温度応力に地震応力がプラスされた応力を生じることになる。一日のうち温度応力の影響が少ない時間帯もあるだろうが、地震がそのような時間帯を選んでくれるとは限らない。

温度応力などのビルトイン応力(built-in stress)を真面目に採り上げて許容応力度設計を実施しようとするとかなり大変そうである。だが、設計者には幸いなことに(施主には不幸なことに?)地震荷重を対象とした計算に温度応力も一緒に考えなさいと規準には書かれていない。これは何故だろうか?

1956年(昭和31年)に出版された小野薫、田中尚共著「建築物のリミットデザイン」という古い本には、この辺りの背景について説明された部分があるので以下にそれを紹介しようかと思う。

まずはこの本の紹介から。

以下はタイトルページを撮影したもの。

OnoTanaka_1.jpg


本書は一般的な専門書とちょっと趣を異にしている。目次を見ればそれが少しお分かりいただけるかと思う(下記)。

OnoTanaka_2.jpg

OnoTanaka_3.jpg

OnoTanaka_4.jpg


一風変わった章タイトルと思われないだろうか。「正直者が損をする話」についてはかなり以前にちょっと引用したことがある。

本書は、イギリス生まれの塑性設計が我が国に導入され始めた頃にどういったことが起きていたのかが詳しく分かる内容となっている。具体的に言うと、守旧派(弾性設計に基づく許容応力度設計を擁護する一派)との熱い論争の軌跡が示されており、「へぇー、何気なく読んでいた塑性設計指針もこんな大変なことが繰り広げられた結果出来上がってきたものなのか」と感慨にふけってしまうのである。

筆者はこの本を古本屋で僅か千円くらいで入手した。最近の本には書かれていない興味深いことが多く載っているので、随分お得な買い物をしたと一人悦に入っている。

ビルトイン応力のような応力をどう扱うか、塑性設計とどのように関係するかについては、この本の"9. 元応力・元歪を如何に考えるか"に記述がある。これについては後日。。。


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