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2014
01.04

図心と重心

Category: 用語
坪井忠二氏の「数理のめがね」という本に「重心について」というエッセーがある。重心が質量中心の式で定義されるのは、重力加速度がいたるところ一様であるという条件付きでの話であり、そのことを忘れるととんでもない間違いを犯す恐れがあるとして、いくつかの間違いの例が示されている。

建築構造の世界で(このエッセーでの例のような)重力加速度の変化を考えたり、万有引力を計算したりといったことが必要な場合はまずないであろう。本稿では、このエッセーに若干似ているが、建築構造の世界でも問題となる(部材断面の)図心と重心について書いてみたい。前回の「断面二次モーメントを英語では何と呼ぶ?」にも関連する内容である。

本屋に並んでいる材料力学の本の中には、重心位置の式で図心を定義しているものや、これらの違いを意識しない書き方となっているものが見受けられる。JIS鋼材表には断面の重心位置が記載されているが、これは図心位置ではなく、重心位置であることには意味があると思われる。重力や慣性力について考える時は、図心ではなく重心に着目すべきだろう。

図心と重心が一致するのは、部材が均質な材料で出来ている場合に限られる。不均質材を扱うことはそう多くは無いと思われるが、だからといって重心と図心の違いについて盲目的でよいわけではない。

もし、図心と重心の水平位置がずれている際に、図心位置を支持点とすると、自重による転倒モーメントを部材は受けることになるだろう。

図心と重心の鉛直位置のずれについては、ちょっと極端な例として、強軸回りに上端圧縮の曲げを受ける普通のH形断面をしたプレートガーダーを考えてみる。

"普通の"というのは、二軸対称という意味であって、断面の図心とせん断中心は共に対称軸の交点に位置する。

下フランジが非常に重い材質で上フランジが非常に軽い材質だと、重心は下フランジ近くに来る。このガーダーが横座屈しようとすると、重心が低いので、起き上がりこぼしのように、自重が復元力となって横座屈を押さえようとするだろう。逆に、下フランジが非常に軽くて上フランジが非常に重いと重心が高くなり、横座屈時は自重によって横たわみはさらに大きくなってしまう。

自重は図心に掛かっていると考えたのでは、このような違いは出てこないのである。まぁ、このようなことが問題になることは殆ど無いであろうし、横座屈の助長(又は抑制)は自重だけの話ではないであろうが。


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