--
--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2014
02.22

応答スペクトルの起源と言われる末広の装置(末広恭二のこと (3))

Category: 地震工学史
前回は、ハウスナー(George W. Housner)が、末広恭二の地震波分解器を応答スペクトルの起源とみなしていることについて書いたが、今回はこの装置について少し書いてみたい。

この装置の写真を初めて見た時は、外見が楽器に似ているという感じを受けた。縦向きの振子が並んでいるので、パイプオルガンや笙に似ていると言えようか。音も地震も同じ振動現象であるから、形が似てくるのは当然かもしれない。

仕組みとしてもっと近いのはオルゴールであろうか。オルゴールは、回転するドラムに配置されたピンが、長さの違う櫛歯をはじいてその櫛歯固有の振動数の音を出す。地震波分解器も、下の方に記録用の回転ドラムが付いており、長さの違う13個の振子が地震で各々に揺れると、ドラムに13個の波形が各々に描かれるのであるから、オルゴールの逆をやっていると言えなくもない。

ただ、各振子には自由振動を消すために水を使ったダンパーが付いている。13個の振子の固有周期は、およそ0.2秒から1.8秒の間にある。1秒以下は0.1秒間隔、1秒以上は0.2秒間隔となっている。1秒以下を細かくしているのは、この当時問題となる建物や構造物の固有周期はこの範囲のものが多かったからである。

末広の講演には、同じ地震研究所の寺田寅彦や坪井忠二の研究結果の引用が何度か出てくるのだが、この寺田寅彦が、末広の死後に書いた「工学博士末広恭二君」という随筆の中でこの地震波分解器について触れている。

「多数の共鳴体を並列して地震動を分析する装置を考案し実際の地震の観測に使用してかなり面白い結果を得た。」

また、末広の自作機械を以下のように評している。

「実験の方でも高価な既成の器械を買ってやるよりも、自分で考案した一見じじむさいように見える器械装置を使って、そうして必要なる程度での最良の効果を収めることに興味をもっていたように見える。」

実際に、寺田寅彦は"じじむさい"といった感想を末広に語ったのではないだろうか。末広の2番目の講演の中に、この点を気にしているかのような部分がある。

「Fig.40(地震波分解器の写真が出ている図)に示す装置は、とても不恰好だが、満足に機能するものである。」
(The instrument shown in Fig. 40, although very clumsy in appearance, works sufficiently.)

と弁解しているのである。

余談だが、寺田寅彦は自分の考えを率直に伝える人であったらしい。それは言われた方からすると、毒舌と感じられたかもしれない。寺田寅彦の別の随筆で、夏目漱石の俳句について寺田が感想を述べたら、漱石が「ひでえことを言いやがる。」と言ったと書いているのを読んだ記憶がある。

話がそれたままになってしまった。。次回は、応答スペクトルの観点から見たこの装置について書く予定。
スポンサーサイト

トラックバックURL
http://ksmknd16.blog.fc2.com/tb.php/32-e9df5e87
トラックバック
コメント
管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。