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2014
03.14

スーパーおじいちゃん(フリーマンのこと(2))

Category: 地震工学史
既に紹介した寺田寅彦の随筆「工学博士末広恭二君」の中に、フリーマンのことが少しだけ登場する。もちろん、末広恭二に関連してのことであるが、その部分を以下に示そう。

「最近に出版された John R. Freeman : Earthquake Damage and Earthquake Insurance を見ると、末広君が米国に招かれるに到った由来が明らかになっている。この本の第二十二章に地震研究方針について米国学界への著者の提案が列挙してある。」

「その冒頭に、先ず有能な学者を日本に派遣して大学地震研究所におけるあらゆる研究の模様を習得せしめよということ、次に末広所長を米国に迎えて講演させ、また米国における将来の研究方針についてその助言を求め、また末広式の地震分析器を各所に据え付けて地盤の固有振動の検出を試みよといったようなことが書いてある。」

「巻末に貼紙として添付された刷物には、末広君の講演の梗概と著者の Some After-thoughts が述べてある。この書の著者は米国在来のやり方の不備に飽き足らず末広君の色々な考えにすっかり共鳴したからのことと考えられるのである。」

"Earthquake Damage and Earthquake Insurance"は、1932年にMcGraw-Hillから出版された900ページ近い大著である。寺田寅彦が書いている"この本の第二十二章"は、最終章(Chapter XXII - Suggestions for a program of Quake Research)にあたる。

提案は23(何故か22番が2つあるのだが、誤植であろう)あって、実に具体的な内容が書いてあり、フリーマンが非常に明確なビジョンを持って活動していたことが、このことからも確認できる。

寺田が書いている内容以外で興味深いものとしては、内藤多仲の耐震設計法をアメリカにも広めよ、石本巳四雄の傾斜計より高感度で壊れにくい傾斜計を作成せよといったことが書いてある。

末広の1つ目の講演内容を参考にしたと思われるが、日本でやっているように水準点を多く設けてそれらの高さの変化を数年間隔で観測せよというのもある。

また、寺田が「末広式の地震分析器を各所に据え付けて地盤の固有振動の検出を試みよ」とあると言っているが、地盤だけでなく、建物の基部と最上階にも分析器を置くようにとも書かれている。

その他、強震だけでなく、小さい揺れの観測も同時にやって、規模の違う地震で比較したり、レイドの弾性反発説の理論や解析法の結果と比較したりするようにとか、(採掘などの目的で発破を行うために)人工地震の起きる近辺で揺れの観測を行うとよいなどとも書かれている。

実に微に入り細に入りの内容だが、ハウスナーのインタビュー記事を読んでも、フリーマンが人並み外れてエネルギッシュで、尚且つ非常にマメであったことが語られている。

フリーマンは、何かを思いつたり、ひらめいたりすると、すぐにその考えを誰かに書き送らないと済まなかったようで、しかもそれが長文の手紙だったりするので、当時40代半ばであったマーテルは、73歳のフリーマンへ返信する際に、「自分がものすごく年寄りになった気がします」と半ば呆れたようなコメントをしている。ハウスナーによると、マーテルの1通に対して、フリーマンは4通の手紙を出しているそうである。

地震工学以外の分野におけるフリーマンの功績については、ハウスナーのインタビュー記事の他にも、本稿の最後に示す文献などを参照されたい。

それらを読むと、コンサルタントとしてダムや運河の建設に参加したり、消化ホース、消化ノズルの研究を行ったり、MITの校舎の設計に関わったりと、フリーマンの八面六臂の活躍ぶりを知ることができる。


参考文献:
M. D.Trifunac : 75th anniversary of strong motion observation, A historical review, Soil Dynamics and Earthquake Engineering 29, 2009

Robert Reitherman : International Aspects Of the History of Earthquake Engineering, Part I, 2008, EERI


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コメント
いつも楽しみに記事を読んでいます。
Robert Reithermanの参考文献は結構面白そうですね。英文で真島健三郎氏に触れられているのに、日本ではさっぱりと触れられないのはなんだかなぁと思っています。
whitefoxdot 2014.03.17 00:46 | 編集
ありがとうございます。

本ブログの内容に興味を持つような人は少ないだろうなぁと思っていますが、一人でも読んでくれている人がいるのを知ると、励みになります。

真島健三郎については、数は多くないようですが、日本で初めてのRC建築を手がけたという観点から書かれた(日本人による)文献があります。

英語の資料も、内藤多仲などに比べると、真島健三郎については少ないようで、Reitherman がその点を嘆いているのを読んだ記憶があります。
神田霞dot 2014.03.17 23:27 | 編集
書いてある内容がかなり面白いので、興味がありそうな人にオススメしておきます。
真島氏の紹介は近江栄氏の論説ですかね?ほかにも地震の外力分布を決めるときにモーダルアナリシスを提案していたとか何かの注釈で読んだことがありますが、構造設計法ベースで触れられたことは非常に少ないですね。

ところで、高山先生のブログで同じハンドルでコメントされているような気がしますが、同一人物でしょうか??
whitefoxdot 2014.03.18 12:28 | 編集
ありがとうございます。下書きレベルのような内容なので、何かおかしな記述などに気づかれたら、ご指摘いただけると幸いです。

>真島氏の紹介は近江栄氏の論説ですかね?
そうです。私が目を通したのは、昭和42年10月の建築学会論文報告集に出ていた記事です。

ご存知かもしれませんが、他にも真島健三郎の柔構造理論を実際に適用した建物の調査などの文献もあって、真島を扱っている資料も少なくないのかと思っていました。

建築学会、土木学会のサイトのデータベースで検索されると、他にも見つかるかもしれませんよ。(私も以前そのようにして調べたはず)

このブログでは、他であまり取り上げられていないものを扱いたいと思っています。真島健三郎はメジャーな方だと思っているので、今のところメインでは取り上げていませんが、何か面白い話が見つかれば、書いてみたいです。。。

神田霞dot 2014.03.18 22:59 | 編集
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