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建築構造学事始

M付きとM無し(単位系の話)

前回、ACI コードに触れたついでに、ACI コードなどにおける単位系の話を書いておきたい。

半年くらい前だったか「MIT白熱教室 ガリレオは本当に正しいのか?」というテレビ番組で、老教授が重力やエネルギー保存則をテーマにした実験を大講義室の聴衆の前でやってみせているのを面白く拝見した。

その中で、重力によって背丈がどれくらい変化するのか測ってみようと言って、聴衆から被験者と計測者を選んで壇上で実演した(横になった状態と立った状態で被験者の背丈を計った)のであるが、その際に「誰かこの中にメートル法が読める人はいるかな?」と計測を担当する有志を募っていた。

ある学生が、「メートル法が読めます」とはりきって壇上に上がったのはよかったが、おもいきり読み間違えて「君は本当にメートル法が読めるのかね?」と老教授につっこまれ、会場の笑いを誘っていた。

これを見ても分かるように、アメリカではメトリックよりもフィートやポンドが今でも根強く使用されているようだ。尺貫法を捨てた我々とは対照的である。AISC、ASCE、UBC、IBC、FEMA などのアメリカの設計コードを見ても、フィートポンドとメトリックが併記されているが、あくまでフィートポンドが主であって、メトリックは括弧内に記載される立場である。

コンクリートの設計コードであるACI 318のコードブック(Building Code Requirements for Structural Concrete)では、1冊に2つの単位系が併記されているのではなく、使用単位系ごとに別冊になっている。タイトルの"318"の後にMが付いているかいないかで見分けることが出来る。

例えば、2008年版ならば、ACI 318-08がフィートポンド単位、ACI 318M-08がメトリック単位に対応している。メトリック版の方には、Appendix に SI-metric、mks-metric、U.S. customary units の3つの単位系それぞれの設計式が示されている。(U.S. customary units という呼び方で、イギリス系のフィートポンドである imperial と区別される)

注意したいのは、設計式中の係数の値は、単位変換の際にきりのいい値に丸められていることである(恐らく元になっているのがフィートポンド単位で、メトリック単位用の式はフィートポンドから変換されたものと思われるが、これはあくまで推測)。

であるから、どちらかの単位系の設計式で計算しておいて、別の単位系で評価するために、最後に正確な変換係数を掛けても、別単位のコードブックの与える結果にはならない(微妙にずれる)のである。日本の設計規準でも、工学単位からSI単位への変換、あるいはその逆を行う際には同じことが言える。

フィートポンドと書いたが、foot-pound であるから、フットポンドと書く方が正確なのかもしれないが、フットポンドでは耳に馴染まないので、フィートポンドとしておく。

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