2014
05.16

金井清よりも前に「発見」されていた?(3) (参考文献など)

Category: 地震工学史
今回、末広恭二の講演の内容をきっかけとして、金井清の業績を中心とした微動に関する文献のいくつかに目を通してみたので、それらの中から主なものを以下に示しておきたい(2と3は、東京工業大学都市地震工学センターのウェブサイトで公開されていた資料である)。微動について今回新たに興味を持たれた方はご一読を。

1. Kiyoshi Kanai, Teiji Tanaka : On Microtremors. VIII. Bulletin of Earthquake Research Institute, Vol. 39(1961)
2. 小林啓美 : 金井清の“On Microtremors VIII”について
3. 瀬尾 和大 : 金井微動とマイクロゾーニング - 小林啓美先生のご足跡を振り返りながら -
4. 鏡味洋史 : 微動観測とその工学的利用、地学雑誌 97-5 (1988)

筆者が読んでみて一番面白かったのは 3 である。それは、微動研究の発展過程の裏話的な話題が書かれていたことや、研究や観測の様子を示す写真が多く掲載されていたことによる。

ある写真には、腰を折り曲げて、突っ伏すように微動計を操作する小林啓美氏の姿がある。眼鏡をずらしていることからも、既にご高齢の時のものと見受けられる。小林氏は、なんと退職金で "マイ微動計" を購入されたそうである。真の研究者とはこういう人のことを言うのかとその写真をまじまじと見入ってしまった。。。

1は、国内外の研究者に多く引用される歴史に残る論文と言えるようである。"ようである"としか書けないのは、筆者がこの分野は全くの門外漢のせいで、自分では評価できないからである。門外漢ゆえに、以下では論文の要点には関係ない、いわばどうでもよいことについてちょっとだけ書いておきたい。

1を読むと、国内外の微動計測点として実に色々な場所が選ばれているのが分かる。読む前までは、なんとなく関東近辺でやっていたのだろうくらいに思っていたのだが、計測点には東京の複数の場所や東京湾もあれば、伊勢湾もあり、洞海湾などもある。計測するだけでも大変だが、パソコンなど無い時代であるから、採れたデータの処理も相当に骨の折れる作業であったろうと思う。

洞海湾では、若松市(現在の福岡県北九州市若松区)に観測点が取られているが、これは工場地帯の近くで人為的な振動源が多くあるから選ばれたのであろうか?また、これとは逆に、かなり田舎の山形県酒田市でも計測が行われている。人為的な振動源が少ない場所を、多い場所との比較用に選んだのであろうか?

縦軸が frequency で横軸が period のグラフが多く載っている。筆者などは、frequency といえば振動数(または周波数)と反射的に訳してしまいそうになるが、微動の分野では frequency は「頻度」である。幸いこのことを大崎順彦著「新・地震動のスペクトル解析入門」を通して知っていたので混乱せずに済んだ。以前にも書いたが、末広恭二の講演記事では、頻度は frequency of occurence と書かれていて、こちらだと勘違いしなくてすむ。

微動は、気象条件などにも影響を受けるが、それよりも人為的なものが支配的だそうである。であるから、微動の振幅は昼の方が夜よりも大きくなる。これに関して成り立つ経験式として、以下のようなものが載っている。

(midnight) = 0.3 × (daytime)^1.5

Midnight と言えば、「きのうときょうの、いや、きょうとあしたのあいだだな」の午前0時(夜の12時)である。Longman Dictionary of Contemporary English には、midnight の説明として以下のように書かれている。

12 o'clock at night

Do not say 'in the midnight'. If you mean 'at 12 o'clock at night' say 'at midnight' and if you mean 'very late at night' say 'in the middle of the night.'

だが、どうも文脈からは"夜間"といったニュアンスで使われていることが伺える。微動振幅の1日の時間変化のグラフが出ているが、最も振幅が小さくなっているのは午前3時から4時くらいであることからも、午前0時の値を取る必然性は無いように思うのだが、どうであろうか?実際、鏡味洋史氏の文献でも"深夜の振幅"という訳語が与えてあるが、これは意訳なのか誤訳なのか。。。

これについては、筆者では判断が付かないので、微動に詳しい方のご意見が伺えれば幸いである。この件は、筆者の頭の中の「よく分からないのでとりあえず判断は先送りしておこうスタック」に積んでおくことにしたい。

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