2013
11.06

耐震設計への道を拓いた男:アルトゥーロ・ダヌッソ (3)

Category: 建築構造史
イタリアでは、この前年(1908年)の12月28日に発生し、甚大な被害を引き起こしたメッシーナ地震(Messina Earthquake)を受けて、耐震構造の研究を目的とした委員会が結成された。

この委員会が面白いというかフランクなのは、委員だけで結論を出すのではなくて、コンペを開いて学者やエンジニアから耐震構造についてのアイデアを募集しているのである。当時のイタリアでは普通のことだったのであろうか?

コンペは1909年に2回開かれているのだが、1回目のコンペの締め切りがなんと地震の3ヶ月後であったとうから、その対応の早さには驚かされる。さらに唖然とさせられるのは、このコンペに200を超える応募があったというのである。

大災害を受けて、建物の安全性が世間の注目を集めたのだろうか?あるいは、コンペの賞金が余程よかったのだろうか?

これら多くの応募の中から、ダヌッソの案が最も優れたものとして採用されたのである。ダヌッソの論文は、静的な設計法をダイレクトに規定していた訳ではない。コンペは、耐震上有利な構造や構法の案を募集したのであって、ダヌッソは、円形のべた基礎(round raft foundation)を持つ低重心の2階建て鉄筋コンクリート建物を提案しており、その耐震性の考察には振動論によるアプローチを採っている。

この中で、静的設計法で用いる外力に相当する概念を規定しているのだが、これは後に“rapporto sismico”(英語に訳すとseismic ratio)と呼ばれるようになった。日本の佐野利器が、この数年後に“震度”という概念で地震力を捕らえるのと似ている。

ただ、震度は、重力加速度を基準にしているが、rapporto sismico は地動加速度に対する建物応答加速度の比であり、現在の振動論の用語を用いれば、加速度の応答倍率とよべるものである。

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