2014
11.10

二次解析(second-order analysis)とは?

Category: 用語
建築構造関係の専門書を読んでいると、二次○○という語にたびたび出くわす。その意味は、その言葉を取り巻く状況に依存していることも多いので、初学者には分かりにくいように思える。二次解析という言葉もその一つではないだろうか。

AISC 360 の2005年版の glossary には以下のような説明がある(一次解析についても一緒に示しておく)。

一次解析: 変形前の構造物において釣合い条件が定式化される構造解析であり、二次効果は無視される。

二次解析: 変形後の構造物において釣合い条件が定式化される構造解析であり、二次効果(特に断らない限り、P-δとP-Δの両方)が考慮される。

二次効果: 構造物の変形形状に影響を与える荷重効果であり、P-δ効果とP-Δ効果を含む。

原文は以下。

First-order analysis : Structural analysis in which equilibrium conditions are formulated on the undeformed structure; second-order effects are neglected.

Second-order analysis : Structural analysis in which equilibrium conditions are formulated on the deformed structure; second-order effects (both P-δ and P-Δ, unless specified otherwise) are included.

Second-order effect : Effect of loads acting on the deformed configuration of a structure; includes P-δ effect and P-Δ effect.

"二次効果"に関しては、P-ΔとP-δの時に書いたのと同じように、"構造物の変形形状に起因する荷重効果"と解釈できるような気もする。

AISC 360 の2010年版の glossary では、何故か Second-order analysis の説明が消えている。Second-order effect、First-order analysis の説明はそのままなので、意図的に削除されたのかどうかは不明である。

上記の定義では、二という数字の数学的な意味合いが薄いことが分かる。このような定義は AISC 360 に限定される訳ではない。マグワイア、ギャラガーらの構造解析の教科書 "Matrix Structural Analysis" では、解析のレベル(弾性 or 非弾性、一次 or 二次など)を規定している部分で、弾性二次解析について以下のように説明している(Chapter 8 Nonlinear Analysis of Frames の 8.1.2 Levels of Analysis 参照)。

弾性二次解析では、釣合い式の定式化において、系の有限変形および変位の効果が考慮される。
(In second-order elastic analysis the effects of finite deformations and displacements of the system are accounted for in formulating the equations of equilibrium.)

そして、この部分の脚注に以下のような補足説明が載っている。

土木工学の構造解析での通例に従って、本書では"二次"という語を数学的に厳密な意味で用いるのではなく、単に本文で述べた効果(有限変形および変位の効果)を考慮した手法全般を指す言葉として用いている。
(Following what has become common in civil engineering structural analysis, we use the term second-order not in a precise mathematical sense but merely as shorthand to designate any method in which the effects reffered to are accounted for.)

設計と解析という言葉はよくセットで使われるが、二次設計と二次解析(一次設計と一次解析も)は全く別物である。二次設計は日本の設計法に固有なものであるのに対して、二次解析の方は構造解析などの分野で(国を問わず)使用される言葉である。敢えて関連付けるなら、どちらも非線形性(二次設計では材料非線形性、二次解析では幾何学的非線形性)を対象としているところは似ていると言えるかも知れない。


参考文献

1. ANSI/AISC360-05 Specification For Structural Steel Buildings
2. ANSI/AISC360-10 Specification For Structural Steel Buildings
3. William McGuire, Richard H. Gallagher, Ronald D. Ziemian : Matrix Structural Analysis, Second Edition, 2000.

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