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2015
01.16

Direct Analysis Method とは?

Category: 鋼構造
先日、柱の座屈の話題の中でAISCコードの座屈長さを"決めない"設計法について書いたが、この設計法は、Direct Analysis Methodと呼ばれている。

AISCの鋼構造設計の安定性に関する規定は近年(といっても10年以上前からだが)大きく変化してきており、Direct Analysis Methodは、AISC 360の2005年版ではAppendixに掲載されていたのだが、2010年版ではChapterに格上げとなり、逆に座屈長さを指定する方法がChapterではなくAppendixに示されるようになった。

これはつまり、Direct Analysis Methodがメインの設計法であり、従来の座屈長さを決める方法がサブと位置付けられると考えていいのだろう。

この変化は同コードブック内の他の内容と比較しても際立っているようだ。というのも、Design Guide 25 の"CHAPTER 4 STABILITY DESIGN REQUIREMENTS"にもこの状況について述べた以下のような文があるのである(拙訳)。

AISC仕様の中で最も重要で恐らく最も意欲的な改訂が、安定設計の分野、つまり骨組系の解析や骨組構成部材の配置に安定性の効果を汲む規定の適用部分において為されている。

原文は以下の通り。

The most significant and possibly the most challenging changes in the AISC Specification are in the area of stability design, that is, the analysis of framing systems and the application of rules for proportioning of the frame components accounting for stability effects.

2010年版のAISC 360のglossaryに与えられるDirect analysis methodの定義を原文とともに以下に示す。

安定性に関する設計法であり、残留応力と骨組の施工誤差の影響が、二次解析における剛性の低減とnotional loadsの適用によって考慮される。

Design method for stability that captures the effects of residual stresses and initial out-of-plumbness of frames by reducing stiffness and applying notional loads in a second-order analysis.


Out-of-plumbness とは、現実には直線部材もまっすぐではないことを示しているので、施工誤差と訳してみた。施工誤差は軸力を受ける柱を不安定化させる要因となる。解析では施工誤差を部材の形状で考慮してもいいが、面倒なので柱の頂部などに小さな水平力を与えてこの不安定要因とすることもできる。Notional Loadsとは、そのような仮想的な荷重である。

上記から分かるように、Direct Ananlysis Methodでは二次解析を行うことが要求される。これはそれほど容易なことではないだろう。それなりのプログラムを開発するなり、ソフトを購入するなり(そもそも、ソフトウェア会社がそのようなソフトを販売していないといけない)を前提としているようである。

本ブログの「構造計算は計算尺で十分?」という記事では、内藤多仲が設計行為においてあまり高精度な計算に重きを置いていなかったことを紹介した。しかし、現代ではコンピュータの計算能力の向上が設計規定そのものを変えるといった状況が生まれている。これはコンピュータが進化している以上は今後も続いていくのだろう。

世界の鋼構造設計(解析も)のトレンドを調査した Trahair の記事(2012年)の"Section 5 Future Trends, 5.1 Computer Hardware"にこの辺りのことが出ていたので、以下にその部分を原文とともに示そう。

今後の解析法と設計法は、コンピュータのハードウェアとソフトウェアの発展の影響を大きく受けるであろう。記憶容量の増大と計算速度の向上は、より洗練された手法による大規模構造物の解析をも可能とし、複雑さを増す基準の部材設計を効果的に実施すること助けてくれるであろう。コンピュータの速度向上と記憶容量の増加によって、現在よりも幅広い領域において高度な解析法が実用化されることが予想される。

Future analysis and design methods will be greatly influenced by further development of computer hardware and software. The expansion of storage capacity and increase in speed will allow more sophisticated structural analysis to be made of even larger structures, and will facilitate the efficient application of increasingly more complex code advice on member design. It is anticipated that future improvements in computer speed and storage will lead to practical methods of advanced analyisis for a much wider range of application than is now the case.


ソフトの使用を前提としていると言えば、日本の保有水平耐力計算による設計なども同じである。いまだに「節点振り分け法の手計算で頑張ってます」という強者も中にはいるかもしれないが(いないかな?)、ソフトを購入して増分解析というのが一般的だろう。Direct Analysis Methodも、非現実的な座屈長さに甘んじることからの脱却ということで最初はハードルが高く見えるが、広まってしまえば当たり前と感じるようになるのかも知れない。


参考文献:

1. AISC : AISC 360-10, Specification For Structural Steel Buildings.

2. RICHARD C. KAEHLER, DONALD W. WHITE and YOON DUK KIM : AISC Steel Design Guide 25, Frame Design Using Web-Tapered Members, 2011

3. N S TRAHAIR : Trends in the Analysis and Design of Steel Framed Structures, Resarch Report R926, Joint Structural Division Annual Seminar 2012
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