--
--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2015
03.06

「たわみ角」には二つの定義がある!?

Category: 建築構造史
たわみ角法について色々と調べているうちに、意外なことが判明してかなり驚いてしまった。何に驚いたかというと、たわみ角法の「たわみ角」の定義は一つではなく二つ存在するということにである。

たわみ角法を学んで随分と経つが、定義が二つもあるとは全く思いもよらなかった。そして、これはまだ想像の域を出ないが、この二つの定義はそれぞれアメリカ由来とドイツ由来とに対応しているのではないかと推測している。

唐突だが、部材の変形について示した図を以下に示す。変形前が ab 、変形後が a'b' である。たわみ角法を勉強したことのある人なら、似たようなものを目にしたことがあるだろう。


Fig1.png

「この部材左端 a におけるたわみ角は?」と聞かれたら何と答えるであろうか?筆者の場合は aab である。aa の方は節点角であってたわみ角とは別物と考える。

だが、複数の文献やウェブ上に公開されている大学の講義資料などを覗いてみたところ、aa をたわみ角と定義しているものもかなり多く存在する。aa とする場合は、「材端たわみ角 = 節点角」である。

古い文献の中で材端 a のたわみ角を aa としているものには、内藤多仲の「建築構造学 第10版」(1971年)や鷹部屋福平の「架構新論」(1928年)などがある。「建築構造学」に参考文献は示されていないが、内藤多仲の研究がウィルソン(W. M. Wilson)の影響を大きく受けたことは本ブログでも以前取り上げた。「架構新論」の方にはウィルソンの文献が明示されている。なので、こちらはアメリカ由来と言えそうである。

一方、時代は少し新しくなるが、田中尚、高梨晃一、宇田川邦明共著「建築骨組の力学」(1979年)などでは、aab の方を材端 a のたわみ角と定義している。では、こちらがドイツ由来かというと、その点ははっきりしない。たわみ角法の評価が最早定まった時代の本なので、特にウィルソンやベンディクセンなどは引用されていない。

こちらの定義がどちらの影響を受けているかを確かめるには、田中尚(小野薫なども?)の系統をもう少し遡ってみる必要がありそうだ。ただ、「建築骨組の力学」のたわみ角法の部分は、ドイツ由来ではないかと筆者は推測している。これについては後日改めて書くことにしたい。

もう一つ意外といえば意外なのが、たわみ角法の「たわみ角」または「撓角(とうかく)」という言葉は、どうやら日本で付けられたらしいのだ。どういうことかというと、英語やドイツ語でたわみ角に対応する語は、日本語の「たわみ角」のような特別な語感を持った用語ではないのである。これについても後日。

話は異なるが、武藤清/二見秀雄著「趣味の構造力学」の対談記事にたわみ角法のネーミングに関する面白い証言(二見秀雄の発言)が出ている(下記)。

撓は とう と読むのに ぎょう と読んで、ぎょうかくぎょうど法と言っていたけど、誰かが辞書を引いてとうと読むんだということで、途中でとうかくとうど法(撓角撓度法)と言い出した。それがわれわれが学校を出る(大正14年)ちょっと前くらいの話ですから、講義には出てこないんです。

この解法が日本に入ってきたばかりの頃は、呼び方も"試行錯誤"したようだ。


スポンサーサイト

トラックバックURL
http://ksmknd16.blog.fc2.com/tb.php/88-ac2c903b
トラックバック
コメント
節点角のα派でした。
シャーレン構造を掘っていて小野薫に行きついた結果、趣味の構造力学にたどり着きましたが、シャーレンもドイツ語ですね。今やシャーレンと呼ぶ人は皆無になっちゃいましたが。
whitefoxdot 2015.03.07 14:56 | 編集
たわみ角法を実務で使うことはまずないだろうし(骨組系FEMの結果のチェックで使ってみるということがまれにあるかもしれませんが)、色々な構造力学の本を読み漁ることも少ないでしょうから、「たわみ角」の定義が二つあるというのを知っている人は少ないのではないかと思っています。

ラーメンが残ったのは、食べ物として慣れ親しんだ言葉だからですかね?冴えない意見ですが。。
神田霞dot 2015.03.10 00:21 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。