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建築構造学事始

意外なところにカンチレバー

わが国最初の超高層である霞が関ビルの姿を何も見ずに描いてみて下さいと言われたら、大方の人は以下のような絵を描くのではないだろうか。

fig1.jpg

だが、実物はちょっと違っていて、下図のようになっている。

fig2.jpg

何が違うかというと、一階部分の短辺に沿って柱が存在しないのである。つまり、カンチレバーになっているのである。よりによって超高層ビルの第一歩を踏み出したと言える霞が関ビルがなぜこんな素人目には(?)不安定に見える構造になっているのだろうか?

勿体ぶっても仕方ないので答えを先に書いてしまうと、柱を抜いたのは、このまま地下まで柱を通すと、地下駐車場の斜路に柱の一部が張り出してしまい、柱の出っ張りが駐車場に出入りする車のスムーズな走行を妨げてしまう。そういことのないように配慮したのである。

この"妙案"は、多くの超高層ビルの計画に携わったことで知られる郭茂林氏の提言によるのだそうだ。以前「霞が関ビルについて語る夕べ」とでもいう集まりに運良くもぐり込むことができた際にこの面白い話を聞くことができた。

その会には霞が関ビルの設計や建設に実際に関わった人が複数みえていたのだが、誰も「カンチレバー」のいわれについてはハテナ顔をされていた。その中で、やはり会に参加されていた郭茂林氏の息子さんがやおら席を立つやこの逸話を披露してくれた。

ここでも建築は「構造を目的に作るにあらずして」なのである。それにしても、地震国であるわが国初の一大プロジェクトでもあるのだから、「車のバンパーくらいこすっても我慢してね」とならないところが意外でもあるし、感心もしてしまう。もちろん、カンチレバーでも全然問題ないことを確認した上での決断なのだろうけれど。

念のため最後に付け加えておくと、長辺に沿ってはカンチになっていなのでご安心を。

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コメント

超高層建築へのアプローチ(S41)の実施設計の報告では、3階のエレベータロビーの柱が傾斜しており、これはちょっと・・・・と思ったもんですが、実際はどうしたんでしょうね。竣工時の本には無い内容です。
武藤先生の超高層ともあろうものが、柱がまっすぐでないことはないと思いますがw

傾斜した柱の話は会では出ませんでした。初耳です。エレベーターロビーということは、コアの所になりますが、どういう理由があったんでしょうね。今度行く機会があったら、どうなっているか見てみようと思います。

会で出た面白い話としては、外周柱の強軸をどちら向きにするかで武藤清はかなり悩んで、何度か変更したり戻したりしたそうですが、二段梁を採用するに及んで漸く最終案に落ち着いたというのがありました。

基準階の柱割りだと、EVホールがせせこましくなるので下で広げたというような解説でした。5層分程度は影響を受けるが、全体架構に大きな影響はないという検討が掲載されてます。
ただ、それで施工したかどうかは不明です。

なるほど、そういう理由なのですね。情報ありがとうございます!

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